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2017年10月18日更新 投稿者

阪口製材所(奈良県吉野町)

建築家の古川泰司さんにご一緒させて頂き、奈良県吉野町の阪口製材所へ。

吉野といえば杉。
川上村から切り出された吉野杉。その製材の町が、吉野町だ。

その中で、阪口製材所は、天然乾燥にこだわり、吉野杉はもちろんのこと多様な広葉樹を含む素晴らしいストックを持ち、そして、林業家・製材所・建築家・工務店を信頼関係でチーム化する、という、新しい取り組みを始めて20年になる。
木造の住宅建築のスペシャリストからは、全幅の信頼を得ている製材所だ。

代表の阪口浩司・勝行さん親子から、いろいろなお話をお聞きする中で、その真髄が端々に感じられた。

  • 昔は、吉野杉を少しでも高く売ろうとした。それが「ふっかけられる」などの悪評につながった。そこを何とか打開したい。それが、施主様や建築家の皆さまとの『信頼関係』を作れる、「この仕組みだ」と思ったのです。我々にはこれしかないと
  • この場所に、施主や建築家の皆さんに足を運んでいただき、ゲストハウスの吉野サロンにお泊まりいただき、しっかり木材を見ていただき、選んでいただき、そして信頼を頂く、そういう仕組みが必要だと考えて、ここまで進めてきました。普通に流通に乗せてしまっては、お互いの信頼はつながりません
  • 高名な経済学者の方からは、「絶対に潰れる」と言われまして。。。吉野の製材所の方々にも「これしかない」と私は語ってきたのですが、皆さん「無理だ」と言われまして。それでも、私たちは、なんとか、ここまで続いています。
  • 「こういう材木が欲しい」と言われたら、すぐにご準備します。「欲しい」と言われて「無い」という状況では、信頼はなくなります。その間、建築が止まってしまう。それは工務店さんにとっては無駄な時間になります。だからこそ、仮に、「無い」という状況がわかれば、次回の注文が来るかなど分からなくても、すぐに対応できるようにストックを準備します。
  • 天然乾燥にこだわる。だからこそ、材木の「割れ」には気にしません。そんな製材所はここしか無いと自負しています。
  • 次世代への継承も大事なことだと思っています。

私は
「製材所界のアマゾンですね。ここに木材がストックされていて、必要な人が、必要な時に購入できるという仕組みだから」
と。
勝行さんは
「あ、それ、いただきます」
と笑ってくれたのだが、一方で、アマゾンとは明らかに違う、face to faceの信頼関係が存在するという、
「アマゾンにはない高度な信頼関係が同居している」
というところに、この阪口製材所の本当の凄さがある。

マネー資本主義的には、回転率の低いこの仕組みは、NOなのかもしれないが、20年続いているこの仕組みに、「地方活性化のあるべき仕組み」が潜んでいるような気がしてならない。

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