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2023年7月25日更新 投稿者

こふでのお仕事図鑑【思想編】

設立8年目を迎えた我が社団「こふで」ですが、これまでの取り組みから、社団としてできること・やるべきことや、関係するメンバーとの協働を通してひとりひとりの情熱の源泉はどういうところにあり、それをどのように引き出していくのがよいか、などが少しずつ見えてきています。

そこで、今回のコラムでは、ワタクシ・オバチャン事務員が、「こふで」の使命感と情熱の源泉となる思想について、代表・澤へのヒアリングをもとにご紹介します。


これまでの「こふで」の活動は、まちづくりや公教育の分野での取り組みが多いように思われますが、どのような考えから活動のフィールドを選んでいるのでしょうか。

私は、未来に向けて環境は常に変化していくので、それに合わせて人は変わらなくてはいけないと考えています。だからこそ、大人に対しても子どもに対しても「(変化が持続的にできる)人づくり」が重要だと思っています。それが結果的にまちづくりや教育を重視した活動につながったのだと思います。

人は、自分たちが興味のあること・自分たちができそうなこと・自分たちがワクワクしてやってみたいことに対してしか自発的に取り組めないと思っています。その「どんなときに人はワクワクするのか」を突き詰めトライアルを繰り返していたら、結果的にまちづくりや公教育の分野での経験が蓄積されてきました。

とはいえ、分野を絞っているわけではないのです。実際に、民間企業のリーダーシップ研修なども手掛けています。

人づくりが大切という考えをもう少し掘り下げてもらえますか。

VUCA=予想困難な時代と呼ばれる今の時代は、国内の急速な人口減少やChatGPTに代表されるAIの台頭など、これまでの常識が通用しない、社会環境が激変する局面にありますよね。

これまで、少なくとも私たちの世代が子どもだった頃は、人口増加に伴う見かけ上の経済成長が進んでいたことと、だからこそ実現できていた終身雇用制度が機能していたことにより、勉強を頑張って学歴をつければ将来よい仕事につけて幸せに暮らせる、といった「目指す方向は1つ」「答えは1つ」でそれなりに社会が回っていく世界だった、少なくともそのように捉えられていた世界だったと思います。

しかし、高度成長も終わり、人の寿命が企業の寿命を上回る人生100年時代に突入しました。つまり、終身雇用がそもそも成立しない時代になっています。

これからは、「目指す方向は人それぞれ」「そこへたどり着くための道筋も1本ではない」「何が正解かもわからない」世界で社会を成り立たせる必要があり、これまで以上に、私たち一人ひとりの柔軟な対応が求められる時代になりました。

この、社会環境に大きな変化の兆しがあるときに、人々はどう反応するのか。私は3種類あると考えています。それは、

①環境の変化に無関心

②環境の変化に関心があり、あるべき姿を目指して議論し、動く

③環境の変化に関心があるが、既得権益を守りたいために環境の変化を抑制しようとして議論を停滞させる動きに出る

です。このうち、③の人たちが①の人々を巻き込んで多数派になってしまっていること、結果的に②の人々が少数派になってしまっていることが、日本社会停滞の大きな要因なのではないかと考えています。

私としては、②の人たちを増やしていきたい。なぜなら、②の人たちが増えることで、社会全体のリスクを小さくすることができると考えているからです。

そのために私が役立てることがあればぜひ取り組みたい。それが一番根底にあるモチベーションです。

これまでの、「目指す方向は1つ」「答えは1つ」でそれなりに社会が回っていく世界だったけれど、これからは、というか、今既に、「目指す方向は人それぞれ」「そこへたどり着くための道筋も1本ではない」「何が正解かもわからない」世界になっているということですよね。私の頭の中ではこんなイメージが浮かびました。

 

そして、この変化の激しい社会で我々に課されるリスクをなるべく小さくするために行動する、ギャップを埋めるために何ができるか考えながら動いていくということですね。

壮大なビジョンです。これを、さらに私なりに咀嚼して身近な例に落とし込んでみたいです。それはつまりこういうことでしょうか。

最近は、SDGsの観点から、スーパーのレジ袋が有料になったり、コーヒーショップのストローがプラスチック製から紙製に変わったりしていますよね。

でも、コンビニで弁当を買うと今でも「お箸をつけますか?」と聞かれますよね。そこで、はい、と答えれば使い捨ての割りばしをもらいますよね。

これを、社会の流れが変わりつつある例として捉えてみると、

①の人は、今までと変わらず、何の疑問も持たずに割りばしをもらい続ける

②の人は、長期的な環境保護を念頭に、使い捨ての割りばしを使わないようにしようと考えて、マイ箸を持ち歩くとか、割りばしをもらったとしても、使い終わった割りばしを再利用するように心がけるとか、そもそもコンビニで弁当を買わないことにより購買行動を変える、などの工夫を試みる

③の人は、今までと変わらずコンビニで弁当を買い、お箸をもらうという利便性を失いたくないことから、コンビニ業界における弁当の売り上げの重要性や弁当納入関係業者の雇用保護を理由にするなどして、新たな購買行動の普及を阻止する議論を展開する

こういうことでしょうか。わかりやすく正確な例を設定するのはなかなか難しいですね。

そうですね。この場合、使い捨ての割りばしをもらわないことが本当に問題解決につながるのか。割りばしをもらっても、それが長く再利用されるサイクルが構築されていれば問題がないのかもしれない、山林の保護のためには一定の寿命を迎えた木はむしろ伐採したほうがよいのかもしれない、など、ひとことで解決策を示すことはできないですよね。答えは未知なんです。

こうした「使い捨て割りばしは本当に悪いのか」という問いは大事ですね。①の方の中には、「現状をただ追認しているだけ」という人も多数います。だから、「本当にそうですか?」と問うことは、私が仕事をするときに皆さんに投げかけるパワーワードになっています。

 

その課題を前にして、まずはいろいろな問いを考えてみる。誰かと話してみる。行動してみる。それが重要だと思います。

未知の課題について、いきなり確信をもって行動できる人はいないと思います。だからこそ、行動するためにエビデンスをとってみよう、とか、小さなチャレンジから始めてみよう、という②の人の心持ちがとても大事なのではないかと考えます。

つまるところ、②の人というのは

  • 正解のない世界で、自分なりの正解を見つけていくことのできる人
  • 自分なりのモチベーションやエンジンを見つけて「やってみよう」と動ける人

なのだと思います。こういう人たちが増えれば社会全体のリスクを減らすことに繋がるという信念を私は持っています。自分さえよければいい、ではなく、みんなで、それぞれが幸せになれるやり方を考えたい。

そのために、エビデンスを基に行動しやすくする、小さなチャレンジから始めることを促す、そんなことにコツコツと取り組んでいきたいと考えています。

まずは、①~③の分類を、普段の生活や日常の仕事において「今の自分の言動はどれに当てはまるだろう」と自分を省みるモノサシとして使ってみるだけでも、メタ認知が育ちそうです。そのうえで、小さな試行錯誤を繰り返しながらも、あとから振り返って「随分遠くまできたな」「自分なりの正解に向かえているな」「周りのみんなと幸せになれているな」と思える生き方をしたいと私自身も強く思います。

この「こふで」の信念を共有できる方々と一緒に、社会の課題解決にチャレンジしていきたいですね。


 

以上、社団の思想編でした。

社団のビジョン・考え方を具体的なイメージと共に分かりやすく言語化するのはなかなかに難しい挑戦ですが、引き続き、掘り下げてお伝えしていきたいと思いますので、ご期待ください。

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