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2016年10月1日更新 投稿者

石見銀山(第4回)

今回の石見銀山での時間。
昼下がり、ちょっと高台から、石見銀山の石州瓦の甍の町並みを眺めてみた。

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昼間を、中村ブレイスの中村さんの言葉の時間、だとすると、日暮れを過ぎてからは、石見銀山生活文化研究所の松場大吉・登美ご夫妻の言葉の時間、となった。
松場夫妻の思いが詰まった「宿」、他郷阿部家でのひと時。今回は、大吉さんが不在で、登美さんが、夕飯前から数時間にわたり、お話しをしていただき、また、会話の場に加わっていただいた。

松場登美さんから語られる言葉を一つ一つが、「石見銀山」が、過去の石見銀山の歴史文化そのものではなく、今の新たにここで創られている文化である、ということを明確にしてくれる。

  • 社屋や景観は、そこの神様と相談して決めていくべきだ。
  • 国の施策は生産性向上・効率化。それでは、実は本当に良いものがなくなってしまうのではないか。
  • 500人くらいがマジックスケール。人が増えてしまったら、全体がわからなくなってしまっていたのではないか。
  • まちづくりは、お金があってできることではない。今の姿は、これまでの小さな奇跡の積み上げだったのではないか。

こうした言葉の根底には、
「我々世代が何を残してきたのか、何も残していないのではないか。あるいは、大切なものを失ってきたのではないか」
という、現代資本主義、合理主義への疑問がある。一方で、
「復古創新」
が社是。決して、現代文明を全て否定しているのではない。
それぞれの良いところを、それこそ「神様と相談して決めれば良い」のだろう。この「しなやかな空気感」を具現化しているのが、今の石見銀山の生活文化、ということになるのだな、と感じた。

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松場登美さんは、
「夫と一緒に、夫の故郷に戻ってきた時、私は『ここは、なんと素晴らしいところなのか』と思ったのです」
と目を見開いた。

「なぜ、ここには古民家が残ったのでしょうか?」
この問いに対する、中村ブレイスの中村社長の一言が思い出される
「なぜでしょうね。昔から大事にしようという雰囲気はありましたね」

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この残しておこうという空気感こそが、「石見銀山」という地域に根付いていた空気感、なのだろう。
それを、敏感に感じた、二つの企業の創業者が、それぞれのフィルターを通して、創り上げたのが、今の、石見銀山、ということになるのだな、ということを確信した。

武家屋敷を10年近くかけてリノベーションして作り上げた、他郷阿部家は、そうした作品の一つに他ならない。

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