2024年12月30日更新 投稿者 代表理事:澤 尚幸
2024年を振り返って
2022年は「問いの大切さ」に気づき、
2023年は、問うためには「よく見ること/観る」の質が大切である、そういうことに気づいた年でした。
それは、多くの山登りや、台湾への3回の訪問、そして、刺激的な書籍からの学びに起因していました。
その上で、2024年は
そんな抱負を掲げました。
私は以前からエビデンスと直観(直感ではありません)のバランスが大切だと考えています。
直観は、多くの経験から得られたスキルのようなものと捉えたら良いと思っています。
レヴィ=ストロースの野生の思考のようなものと捉えても良いかもしれません。
一方で、直観の獲得には多くの経験が必要ですから、経験を積む前には、エビデンスである程度フォーカスを絞るとか道案内をしてもらうということも、とても有効だと思っています。
今年、10数年ぶりに車を買い替えました。
デジタル化が進み、車が勝手に動いてくれます。
オートクルーズ機能などは非常に便利。
勝手に前の車に合わせて走ってくれるわけです。
が、どうしても、ブレーキングとかアクセルワークが自分のこれまでの感覚とは合いません。
「これもAIを使えば、自分の感覚に合うような制御できるよね」
と友人に話したのですが、
「そういう車も存在したけど、渋滞が増えたので止めたらしい(事実不明)」
という答えが返ってきました。
そう、直観には個性が表れます。一方で、エビデンスからの答えは平均値になりがちです。
しかし、社会みんなのためにはそちらの方が効率的である、ということです。
つまり、社会的に見ても、エビデンスと直観は、社会の幸福と自分の幸福の両立、
個人に置き換えれば「自由の相互承認」なんだよな
みたいなことに行き当たるわけです。
私は、30代半ばまでは、データで社会を読む的なことに夢中でした。
データを集めて、長期的なシミュレーションをしてみる。
そういうことです。
急速にコンピュータが発展して、大規模データを利用できるようになったこともありますが、
実は、経験不足だったからデータに頼るしかなかったからですね。
20代の初め、人口動態統計を分析して「このままだと人口減少で日本の国は30年くらいで大変になるのではないか」と他省庁の高級官僚に話して、失笑された記憶があります。そのくらい、エビデンスベースではないのが霞ヶ関でした。そういう意味では、EBPMは自分の中では最先端だと思っていました。
今でも、シミュレーションすることの重要性は自分の中では揺るぎません。(ただし、データを間違えると結果がおかしくなるので、観ることは大事です)
30代後半からは、反動からか、直観の方にシフトしたように思います。
40万人企業の郵政の民営化も控えて、一人一人が楽しむためには経験値を生かしていく、そんな組織や社会を夢見たからかもしれません。
みんなの経験の中から本当の答えを見出していく、そういう作業です。
新しい車は、そんなことを体感させてくれました。
もう一つの今年のTOPICは、Bechsteinのアップライトピアノを買い、書斎に置いたことです。
それまでは、ヘッドホンでちょっといい電子ピアノを弾いていました。
が、指を痛めました。
耳と指が一致していないのです。作られた電子音が人の身体に合っていないということなのだと思いました。
Bechsteinを買って、車とは逆の状況が生まれました。
楽器が自分に合わせてくれる、そういう体験です。
(本当は、自分が楽器に合わせているはずなのですが。。。そうは感じさせないものがアコースティックのピアノにはあります)
プライベートのことばかりを書きましたが、実は、仕事の上でも、福井県でDXによるヘルスケアの進化系みたいなことをサポートさせていただきました。
やはり、デジタルから得られるデータというエビデンスをどう使っていくのか、その時に大事なのは人の行動であり経験値だな、という結論に向かっているように思います。(事業はまだ年度内は続きます)
仕事に、車やBechsteinの経験は大いに役だったと思います。
経験値は人に話す時の、とても良い材料になります。
忙しくて山にはいけませんでしたが、本はそこそこ読みました。
実験の民主主義(宇野重規)
チョンキンマンションのボスは知っている(小川さやか)
世界は宗教で動いている(橋爪大三郎)
マイ仏教(みうらじゅん)
ホワイトカラー消滅(冨山和彦)
スマートシティーとキノコとブッダ(中西泰人、本江正茂、石川初)
プロジェッティスタの控えめな創造力(多木陽介)
この辺りは、とても自分の思考に影響しました。
そして、新しいご縁もたくさんいただきました。
そのご縁で、なぜか、インドネシアにも初訪問しました。
新しい人々とのコミュニケーションは新たな経験の層を増やしてくれました。
(魚津たてもん祭りでは多くのご縁をいただきました)
直観は経験です。
他者からの影響から構築され、それは個性を創る大きな要素と言えるでしょう。
他者には自然も含まれます。
実は、良い経験のためには、こっちが何も含んでいない無垢なスポンジ、である必要があります。
これが今年の学びであったように思います
問う、直観と遡ってきた私の旅は、
2024年に「他者から学ぶための固定観念の排除」とか、他者との関係性でこそ物事とは決定されていて自分などいないという意味で、仏教でいう「空」のような概念みたいなところに到達したように思います。
ちょっと難しくなりましたが、
と言えば、状態としての「空」ではなく手段になるのでわかりやすいかもしれません。
「そうではない、のではないか?」
と常に問うこと、観る上で大切なことはそういうことなのかなと思います。
社団を創立して10年目になります。
2025年はいろいろまとめていく、そんな年にしたいと思っています。
それが、来年への抱負です。
1年間みなさまお世話になりました。
2025年がみなさまにとって良い年になりますように。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。