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2022年12月2日更新 投稿者

澤ノートをめぐる冒険 vol.1

誰かが、貴方と同じものを同じ条件で同時に見たはずなのに、貴方とは全く違う、思いもよらない「後ろ斜め45度」くらいの視点からの意見・コメントをしてきて衝撃を受けたことはないでしょうか?

そんなとき、この人はなぜそんな風に考えたのだろう?その思考プロセスを覗いてみたい、と思ったことはないでしょうか?


ワタクシ・オバチャン事務員は、代表・澤を見ていて、「どうしてここでこんな上手い表現が出てくるのかしら?」とか、「今までの話からどうしてそういうまとめに持って行けるのかしら?」と思うことが多々あり、澤がちょっと一般的ではない、特異な「思考の切り口」を持っているように思われ、大変興味があります。

そんな澤が、ある日の社団の定例ミーティング(オンライン)で、「今度の博士課程での研究に向けて、頭を整理しています。このところずっと、こういうノートを書いていたんですよ」と画面越しに手書きのノートを見せてくれたことがありました。

業務資料のためぼかし加工しています

社団メンバー全員が興味深くそれをZoom越しに眺めて話に花が咲いたのですが、

「デジタルが浸透した世の中になったとはいえ、私が考えをまとめるときはPCではなく、やっぱりアナログですね。いつもノートに手書きで書くんです。私の家には過去のメモ書きもほぼ全部取ってありますよ」

という澤の言葉に、別のメンバーが「これがまさに、『東大生のノート』ですね」(※澤は東大卒です)と呟いた一言で、私、思いついてしまいました。

これは澤の思考を解剖する絶好のツールなのでは?

ともすると興味を持つのは私だけではなく、外部に売れるのでは?・・(ぐふふ)。

そのノート、いや他のノートも、もっとよく見せてください!

というわけで、私のこんな邪まな気持ちから今回のコラムが始まります。


さて、こうして何種類かのノート画面を送ってもらったのですが、あくまで本人が自分用にしたためたメモ書き的なものですから、当然ながら、私がザックリ見たからといって「なるほどこんな風に書いたら頭が整理できるんですね!」と理解できるような代物ではありませんでした(笑)。

しかし今度は

「どういう状況になるとこういったメモ書きをするのだろうか」

「このメモ書きができたことで、そのあとどういう風に仕事の進め方が変わった(進んだ)のだろうか」

という、アドバイザー業における澤の思考の順番や、思考整理のタイミングが気になったので、インタビューしてみました。


というわけなので、今回もお話よろしくお願いいたします。

まず申し上げると、私は「ノート」をプロジェクトの「最初から」書くことはありません。むしろ、始めは、書けと言われても、何も紙に書けないんです。ある程度いろいろなことが見えてこないと書けないのが私の「ノート」です。

「ノート」をどのようなタイミングで書くのかについては、私の仕事の進め方と併せて紹介するのがよいと思います。私のアドバイザー業務は、だいたいいつも以下のプロセスを経ることになります。


①ゴールをセットする

②とことんリサーチする

③差分が探せて来たらマッピング【ノートの出番】

④見えてきた道筋に沿って進んでいく


地域活性化でも、教育分野でも、アドバイザーとして入るプロジェクトでは「何を達成したいのか」「どんな課題を解決したいのか」というゴールがセットされますよね。そしてプロジェクトチームとの協議に入ります。

アドバイザーというのはある意味「部外者」ですから、「内部」「現場」のプロジェクトチームメンバーが、それぞれどういう考えをもった人たちで、どのように行動していくのか、全くわからないところからスタートします。

ですから、最初はとにかく「リサーチ」をするしかないんです。みなさんと対話して、何を考えているか、どういうことをやりたいと思っているのかをなるべく具体的に引き出していくことに注力します。

これは、私が大学で数学を専攻していたときによく行っていた「差分を探す」という作業に似ているんです。

自分のことは「自分だけ」を見て考えているのでは、なかなかわからないものですよね。ところが対比する対象があると、理解しやすくなります。

対比をするために、データ分析は大事なプロセスです。しかし「このデータとあのデータを見たら、必ずこの結論が導かれる」といった「絶対」が生まれることは、実はあまりないのです。

データで絶対を求めすぎると、かえって見えなくなってしまうものもある。ただ「絶対」はわからなくても、「見当」はつけられる、と私は思っています。ですから、本質を見失わないためにも、「見当」程度にしておく温度感が大事だと思っています。

以上から私は、膨大なデータと取り組んで身に付くのは「このデータとあのデータを見たときに、その差分はどうやらこういうところにありそうだ」という見当をつける力なのではないかと考えています。

アドバイザー業務におけるリサーチでも同じです。会話してリサーチを重ねるうちに、メンバーそれぞれが考えていることは、自分が知っている事例に当てはめたら、どういうことと同じなのだろう?もしくは何が違うんだろう?ということが少しずつ見えてくるのです。

そして「何が違うんだろう」という疑問が大体なくなってきたところで、初めてノートにまとめます。

ぼかし加工しています

差分が見えてきた、と思ったときにノートを書く、ということですね。ここまで来るのに、時間がかかりそうですね。

ノートに書くことは、大して時はかからないんですね。ただ、そこに至るまでの「差分が分かっていないじ」を「見えた、わかった」に転換できるように、こだわってリサーチするようにしています。ここには相当時間をかけます。1くらいかけたことも普通にあるんじないかな。

でも、私にとって大事な工程です。こうして1枚にまとめていく過程で、「今何がわかっているのか」「わかっていないことは何か」「どの要素はデータが揃っていて、どこが揃っていないのか」、こうした凸凹したものが見えてくるのです。

そうすると、それを丸く仕上げていくためには何が足りないのかがわかってきます。それがそのあと取り組むべきこととして見えてくるのです。観念的ですが、最後には美しい球体が見えるような、そんな感じです。凸凹がなくなってスになるじというか。。。

 1枚のノートにまとめることで、スになっていることをかめている。私のノートは、それを確認するためにあるじですね。

そこまでできたら、この画はうまくいくだろうという目算ちます。

オバチャン的経験に当てはめると、最初はザラザラ・ベタベタしている不格好なパン生地が、捏ねているうちに段々と艶々して、まとまりのよい美しい丸い塊に仕上がっていくときの快感と似ているのかな、と思います。それが頭の中で行われるわけですね、なるほど~(勝手に納得)。

そう・・なのかも知れません。

こうして「球体」が出来上がる過程でそれまで気づかなかったキーワード・視点が浮かび上がってくることも多く、進むべき道筋がよりクリアになってくるのです。

現在進行形で取り組んでいる広島県福山市の、学力と非認知能力の両方を評価するプロジェクトを始めたのも、こうしてノートを書き出した時に見えてきた新たなキーワードがきっかけでした。

「球体」を作り上げるためのリサーチでは、大学~現在に至るまでの膨大なデータ分析経験が活かされているというお話もありました。「差分を探す」というのは、非常に「勘所」が要求される行為であるように思われます。私のような一般人には難しそうです・・・。

そんなことはないと思いますよ。どういうことかというと・・・

 

まだまだ話が尽きません。長くなりそうですので、続きはvol.2にてご紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

 

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