2016年9月28日更新 投稿者 代表理事:澤 尚幸
石見銀山(第3回)
石見銀山生活文化研究所、群言堂本店を後にし、もう一つの企業、中村ブレイスさんを訪問。
旧松江銀行本店を移築した、という迎賓館で、代表の中村俊郎さんからお話をお聞きした。
「柔和な中に、強い信念をお持ち」
と伺える方で、なぜ、義肢の専門企業を立ち上げたのか、なぜ、石見銀山の歴史や、石見銀山の町並み保存というCSRをはじめられたのか、といったことを、丹念にお話いただいた。
実際の工場を見学させていただいた。
一つ一つ手作り。
職人の方々は、使い手一人一人をイメージして、丹念に作られている。
「ちゃんと、使われる方が、浮かんでいるはずです」
とは、中村さんの言葉。
”THINK”
が社是であるというのも、納得だ。
中村さんは、京都、そしてアメリカへと渡り、義肢の技術を会得して、ここ大森町に戻ってきた。
その時、古い町並みが残りつつも、400人あまりの人口。「ゴーストタウン」と形容するしかない実態。「自分が楽しくやっていけば、きっと楽しく一緒にやってくれる人が出てくるはず」、その熱い思いは、マスコミによる支援を呼び込み、50棟におよぶ古民家の再生を実現し、古い鉱山に関わる膨大な資料を収集した、という今、そして将来に繋がっていく。
義肢の製作という人を豊かにする仕事、ゴーストタウンの状況とは言え残っていた古民家群、そして、危機感の中で、町を再生したいと思った中村さんという人、それを一人ではなく皆でやろうと思った思想、このあたりが、
「石見銀山の今」
につながる、レールだな、と感じはじめていた。滞在2時間をあまり。少しずつ、靄が晴れてくるのを感じている。