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2025年12月31日更新 投稿者

2025年とCFDの10年を振り返って

2025年は、いろいろまとめていく、そういう年にしたい、そんな抱負を掲げていました。

ヨーロッパに行きました。
約1か月。
フランス、イタリア、そして、一日だけフィンランドのヘルシンキに立ち寄りました。
全く異なる文化や習慣の中にいることで、自分のこれまでの取り組みが、より「輪郭を持って現れる」という経験ができました。
内発的動機とは何か?
エビデンスと直観とは何か?
課題解決における自然な流れとは何か?
古い日本にはちゃんと存在していたものが、なぜ、今の時代に受け継がれなかったのか?
ヨーロッパから戻った時に、なぜ、私は、日本人がすり減っているように感じたのか?

一方で、世の中の変化も非常に大きい一年であったと思います。
女性首相の誕生、株価の上昇、金利の上昇、物価の上昇など、政治・経済の変化はもちろん大きい変化だとは思うのですが、
私は次の2つが未来に対して大きな変化になっていたのではないかと考えています。
つまり、将来から振り返ったとき、2025年が転換点、と呼ばれることになるものです。
一つは、AIの進化
そして、もう一つは、人材不足の問題が深刻化した・顕在化した、ということです。

AIの進化は、過去の知識の蓄積していること、を極端に言えば無価値にします。
ちょっとした質問文(プロンプト)で、瞬時に”答えらしきもの”が返ってきます。
そして、その質問自体を学習することで、一人一人の個性や経験に合わせて、気持ちいい答えを返してくれます。
行政は、前例主義、保守的、と言われますが、
これは過去の知識の蓄積からの回答をしていく、という作業を意味します。
「お役所仕事」
と揶揄されることも多いですが、AIの活用は、一人一人に合った「適切な行政サービス」が提供できる、ことを意味します。
若林恵が「次世代ガバメント」で訴えたことが、実現できる、その素地が整ったと言えるでしょう。
あとは、住民がAIを使うかどうか、その一点にかかっているように思います。
行政職員の採用が思うようにいかない、という声を聞きます。
学校教育における教員も同様です。
「人材不足の問題は、AIの活用で解決する。」
この流れが、ものすごい勢いで始まるのではないか、その転換点が2025年だった、そんな気がしています。クリエイティブではなく、個人に合わせて支援するものは、AIの独壇場になるでしょう。
そして、「スマホは使えない」と言っている高齢者が、AIをもっと簡単に使えるようになる、そういう時代の始まりが、2025年になったと言われるように思います。音声で会話する。自分自身にあった「行政職員」が自然に作れてしまう、そういう時代が始まるからです。
だから、行政職員や教員が採用できなくても、さほど問題にならない、ということが、早晩やってくるのではないか、と思っています。
そして、自分で言うのもナンセンスなのですが、コンサルティングとか、コンサルタントという仕事は、早晩なくなるように思います。多くは過去の知識の蓄積だからです。
いわゆるホワイトカラーの仕事がなくなる、と言っても良いのかと思います。

ヨーロッパの話に戻ります。
内発的動機も、経験の蓄積である直観も、AIに聞いても答えてはくれません。
あくまで自分の内面に存在し、身体性の中に蓄積されているからです。
そして、ここから生まれてくるであろう、問題解決の自然な流れも、(AIとの対話で深まることはあるように思いますが、)、最終的には自分の納得の中から生まれてくるものかと思います。

日本人がすり減っているのは、多分、
「(日本の)世の中と自分がずれている」
からではないかと思うのです。

AIは、そのずれを自分を取り巻く環境の方に作用することで、解消してくれることになります。
そこに大きな期待をしたいと思いますし、行政や教育という、自分の外にあるものは、このことで大きくサービスの質が高まるのではないかと期待できます。
一方で、自分自身は自分自身で開発するしかありません。
AIも間違えます。だから、「騙されないこと」も大事です。自分の環世界が、AIだけで構成されてしまえば、AIが騙していることすらわからないことになります。
だから、自分自身の開発が必要になります。

2025年は「いろいろまとめていく」のでした。
12月になって感じたのは、自分がやってきたことは、
「経験や身体性を育み、それを人が一人一人自分自身が見える化できる社会を作る」
ということだったんだなぁ、、、ということでした。
CFDの10年もその実践だったと思っています。

年の瀬、今年取り組んだ兵庫県豊岡市の皆さんとじっくり会話をしたくて、急遽、豊岡市に向かいました。
ここで話したことも、このことでした。

2026年は、とまでは言いませんが、2026年からは、
人を取り巻く環境をAIで豊かにしつつ
AIに騙されない人の還世界を作るために経験や身体性を育むこと
この両立を目標にしながら、活動を続けてみたい、そんなふうに感じて大晦日を迎えました。

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