2017年5月14日更新 投稿者 代表理事:澤 尚幸
飯坂温泉で考える
福島市で仕事。
翌日の予定がキャンセルになってしまったので、久しぶりに飯坂温泉に足を延ばすことにした。
前職では全国を飛び回ることが多く、山形新幹線との分岐点、広い福島県内の拠点として、
飯坂温泉に宿泊することが多かった。
交通の利便性だけ言えば、郡山市に分がありそうなのだが、
「松尾芭蕉もやってきた温泉の質」
は、ここにしかない。
福島交通飯坂線に揺られて30分弱。
夜の飯坂の町に到着。
数年ぶりだったのだが、さらに寂れてしまった感じがする。
川沿いのホテルは真っ暗で、半分近くはすでに廃業している実感。
ホテル聚楽のネオンだけが対象的にきらびやか。
射的が一軒空いていたが、お客はいない。
真新しい共同浴場だけが妙に明るい。
日曜日の夜ではない。
今日は、金曜日の夜だ。
にもかかわらず、飲食店は、ホテルでもらった営業時間など守らず、
とっとと閉店している。
「それだけ客がいない」
ということなのかもしれない。
しかも、それが恒常化してしまっているのだろう。
そもそも、湯の町にありがちな
「浴衣で歩く人々の姿が全くない」
という違和感。
今回お世話になった伊勢屋さん。
一度休業したようだが、食事を出さない宿泊オンリーということで、最近復活したようだった。
「自家源泉のお湯の良さ」
という強みを前面に出して、再建を進めているようだ。
となると大事なのは食事。
前述の通り店は限られる。
翌朝は、雨だった。
朝ごはんも、この宿にはない。
地図でカフェを探した。
目に入った「カフェひらがな」
600円のブレクファストプレート。
コーヒーも美味しかった。
お湯の良さに、食事がしっかりプラスされると、幸福な感じになる。
宿だけではなく、地域トータルで議論すれば、まだ、解決策はあるのではないだろうか?
とふと、この朝食を食べていて感じた。
福島駅から往復して1時間。
しかも、福島駅から仙台駅は新幹線で20分に過ぎない。
お湯では、まちがいなく、福島駅前や仙台のビジネスホテル群よりも勝っているだろう。
足利銀行の破綻で冷え切った「鬼怒川温泉」
東日本大震災の風評の影響を受けた「飯坂温泉」、会津の「東山温泉」、「芦ノ牧温泉」
破綻や風評が引き金になってしまったことは、事実のように思うが、
「そもそも、市場ニーズと違ってしまった」
というのが、事の本質。
となると、これからのニーズに対応していくしか生きる道はない。
飯坂温泉は、いわゆる歓楽温泉街の中では、交通利便性が高いと思う。
何から、対応策はないものだろうか。
と考える週末。