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2022年12月31日更新 投稿者

2022年を振り返って

2022年は、ずっとモヤモヤしていたものに答えらしきものを出すことができた、これが一番感慨深い。 それは
「学校教育というものは、しっかりエビデンスで見た方が正しい答えが分かりそうだ」
ということを説明できた、ということで、これは福山市教育委員会の支援がなければできなかった。
行政とアカデミアの連携は、これまでに自分自身も経験がなく、新たな一歩が踏み出せたと思っている。

実は、この研究というプロセスで、私が一番学んだのは
「問の大切さ」
ということだった。

そして、もう一つ、多くの友人から今年呟かれた言葉は、
「なぜ、優秀な人も、正解を私に聞こうとするんだろう」
だった。

研究のプロセスは、 「巨人の肩の上に立つ」 と言われる。
私なりの解釈は

  • (1)人間が気づきそうなことは、もう先人がほとんどの答えを出している
  • (2)その多くの気づきの上に、少しだけ誰も気づいていないことを明らかにする

というものだ。
今、「予測不能の時代」と言われる。 しかし、こちらも

  • (a)予測はできないが、発生してもすでに過去の経験があるもの
  • (b)本当にこれまでに経験がないこと

の2つがあるはずだ。

過去に経験があるもの(a)は、先人のことを調べればわかるはず(1)。
本当に予測不能で大変なのは、これまでに経験がないこと(b)にどう対処するか?ということになる。

ここで気づくのは、
「巨人の方の上に立つ」
という言葉である。 今までに経験がないことは、まさに、研究と同じで、過去の状況をしっかり見た上で、問(仮説)を立てて「これが正解ではないか?」という判断が必要になるだろう。 問を間違えば、当然に答えを間違う。
だからこそ、

  • (A)「正しい問」を立てること
  • (B)その上で、「正しい問」を解決していくこと

が必要になる。

2022年までの仕事で、いくつかの違和感を感じてきたのは、(A)の段階は終わっていて、(B)になってお願いをされるというケースが少なくないことだ。

「戦略は決めてあります」
「計画は決めてあります」
「・・・」

問が間違っていると正解は出ないか、もしくは正解を出す過程で問いを立て直すという非常に面倒な仕事になる。
ずっと感じてきた違和感が氷解してスッキリしたのも、2022年だった。

そして、この(A)には、(A’)のようなものがある。 今の課題を問にすると、その解決が終わる頃には世の中が変わってしまうという話だ。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の話で、山のように言われていることだけれど、
「未来からバックキャストして物事を考えましょうね」
というお話である。
例えば、分かりやすくいうと

  • 自動運転の進化と人口減少で交通体系がもっと制御できるようになった時に、高速道路なんて必要なんですかね
  • 高速道路は緊急搬送が目的とかいう項目があるけど、搬送している間に死んでしまう確率と、遠隔診療で死んでしまうリスクと、もしかすると前者の方が高くなる時代が来るんじゃない?

みたいなことは普通に考えて計画は立てられているだろうか、ということでもある。

だから、(A)は 「未来を想定した上での正しい問(A’)」 とできたら良いのだけどなぁ、、、としみじみ年末に思っている。

こうした問の失敗は、今のIT人材不足や、そもそも、急激に働き手がいなくなってから慌てているという現状から見て取れる。20年前くらいの設計ミスということになるのだろう。

教育の研究をやってよかったのは、「予測不能」という時代が来るという未来に向けて「教員や地域」は何をしておくといいんだろう、ということを(今、うまく行っているところの状態を明らかにすることで)示すことができたということだと思っている。
そういう意味で、(A’)を立てられたと自分では少し自負している。

数学の世界には、「解なし」という答えがあるけれど、どうも世の中には、
「解なし」の場合には「現状追認でやっておきましょう」
という掟があって、なんだか知らないけど進んでしまう。(これを私は「既得権の罠」というべきだと思っている)
正しい問を出し、解がないという正しい答えが分かっても、なぜか、進んでしまう、ここまで来るともう手の施しようがないので、そこには関わりようがない。。。でも、そうでないものもまたたくさんあるように思っていて、

2023年は「正しい問」をいろいろな方々と議論をしながら突き詰めていく

そういう1年にできたら良いなぁ、と思っています。
同じ志を持つ人々にたくさん会えた2022年でもありました。

1年間みなさまお世話になりました。
2023年がみなさまにとって良い年になりますように。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

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